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温度調節器(温調器)とは?遠隔から温度を確認する方法も紹介

2025.06.26

はじめに

温度管理は、工場や食品、医療、農業、空調など、さまざまな分野で製品の品質やお客様の安全・快適さを守るために欠かせません。正しい温度を保つことで、製品の安定性が向上し、利用者の満足度も高まります。
 
一方、温度に異常がないか監視したり、利用者からの暑い寒いといったクレーム対応で、現場の負担が増えていないでしょうか。遠隔からリアルタイムで温度を確認したり、設定をできるようにすることで、作業の効率が上がり、コスト削減や安全性の向上、さらにはお客様の満足度アップにつながります。
 
温度管理をおこなう際によく用いられている機器が「温度調節器」です。温度調節計、デジタル調節計などとも呼ばれています。この記事では、温度調節器(以下、温調器)がどのように働くのか、その基本的な仕組みと、温調器を遠隔監視する方法についてご紹介します。

温調器の基本機能

温調器は、センサーで対象物や設備の温度(PV:実際の温度)を測り、あらかじめ決めた目標温度(SV)を保つための機器です。実際の温度と目標温度の差(偏差)をもとに、ヒーターや冷却装置を調整して、設定された温度にできるだけ近づけるよう制御します。

主な機能は以下の通りです。

温度測定機能

温調器は、サーミスタ、RTD(抵抗温度検出器)、または熱電対などのセンサーを使って、リアルタイムに温度を測ります。この測定値が制御の基になるデータとなります。

温度制御機能(誤差検出と出力制御)

実際に、測定された温度と設定温度との差を検出し、その差に応じて、ヒーターや冷却装置、バルブなどの動作を制御します。細かい温度調整が必要な場合は、比例・積分・微分(PID)制御を使い、ヒーターなどの出力を微妙に調整します。一方、温度が大きくずれたときには、単純なON/OFF制御で、該当する装置を完全に動作させたり停止させたりします。これにより、温度を目標値にできるだけ近づけるように制御しています。

安全保護・アラーム機能

温度が急激に変動したり、目標温度から大幅にずれた場合、温調器は警報を鳴らし、場合によっては制御を停止するなどの対応をします。これにより、設備のトラブルや安全上の問題を防ぐことができます。

代表的なメーカーの紹介

温調器は、さまざまな現場で使われています。特に中小規模の施設では、導入が手軽で扱いやすく、コストパフォーマンスに優れた製品が重宝されています。今回は、こうした施設でよく採用され、品揃えも豊富な代表的なメーカーをご紹介します。

アズビル 調節計(温調計)

https://aa-industrial.azbil.com/jp/ja/products/controller-recorder-communication-gateway/controller

オムロン 温度調節器(デジタル調節計)

https://www.fa.omron.co.jp/product/selection/53/func_spec.html

理化工業 デジタル指示調節計

https://www.rkcinst.co.jp/products_category/digital-controllers/

横河電機 ディジタル指示調節計(温度調節計/温調計)

https://www.yokogawa.co.jp/solutions/products-and-services/control/control-devices/temperature-controllers/

富士電機 温度調節計

https://www.fujielectric.co.jp/products/instruments/products/controller/top.html

IoT温調器遠隔監視システムで離れた場所から温度を確認

温調器は自動で温度を制御しますが、温度を確認したり設定温度を変更する際には、現場まで足を運ぶ必要があります。IoT温調器遠隔監視システムは、このような手間を、スマホとクラウドを活用して削減するものです。

IoT温調器遠隔監視システムの情報をみる
 
以下では、温調器のIoT化で実現する遠隔監視システムのおもな機能を紹介していきます。

離れた場所からスマホやPCで温度を一括確認


各設備の温調器から送信される温度データを、Webアプリでリアルタイムに確認できます。温度は、スマホやPCの画面に一覧で表示。温度を確認するためにその場に足を運ぶ必要がなくなり、作業効率が向上します。

温度異常時にスマホやPCへアラート通知


設定温度を超えた場合や急激な温度変動が発生した際には、即時にアラート通知を送信します。異常をいち早くキャッチし、すぐに対処できるため、安全性が向上します。

温調器の設定温度を変更


現場での操作が必要だった設定温度の変更も、このシステムならスマートフォンから直接操作が可能です。急な利用者からのや環境変化に柔軟に対応できるため、常に最適な温度環境を維持することができます。

温度データのログを取得


温度の計測値は、クラウドにログとして蓄積されます。温度管理表や運用レポートの作成に活用できます。温度変化の可視化により、不具合発生時の究明や改善提案などにも役立ちます。

IoT温調器遠隔監視システムの構成

既存の温調器にあとづけで通信ユニットを取り付け、無線でデータを送信します。ゲートウェイで各温調器のデータを集約し、LTE-M回線でクラウドに接続します。この仕組みにより、いつでもどこでも遠隔で温度の監視や操作ができるようになります。この構成では追加のWi-Fiや通信設備が不要で、低コストかつスピーディに導入可能です。
 
【ラトックシステムのIoT温調器遠隔監視システム構成図】

遠隔監視の導入メリット(サウナの例)

以下では、サウナの温度調整をおこなっている温調器を例に、IoT温調器遠隔監視システムを導入した場合の運用フローとメリットを解説します。サウナや温泉施設では、利用者の快適性と安全性を保つため、温調器が重要な役割を担っています。最適な温度に調整することで、リラックス効果を高め、顧客満足度を向上させています。また、ガイドライン等に沿った安全基準を維持するためにも必要です。

サウナの温度を

遠隔からモニタリング

  • 常時温度確認と異常時の通知
    24時間いつでも、手元でサウナ内の温度が確認でき、状況を把握できます。また、ヒーターの不具合などにより温度の異常が発生した場合は、即座に異常を検知して管理者にスマートフォンやPCを通じて通知します。現場向かう前に、現在の温度を確認しておくことで、迅速な判断が可能となります。
  • データの記録と蓄積
    温度データはクラウド上で自動記録されます。過去の温度推移がExcel等で可視化でき、運用の改善や傾向分析に役立てます。たとえば、通常から徐々に温度が下がり始めた場合、センサーやヒーターの劣化が疑われ、定期メンテナンス前に予防措置を講じることが可能です。
  • クレーム対応の迅速化
    利用者から「温度が高すぎる」等のお声があった場合も、記録データを基に状況を確認することで、客観的な対応が行えます。透明性が高まるため、利用者に「安全で快適な環境を維持している」という信頼感を提供し、結果として顧客満足度の向上につながります。
  • 柔軟な環境調整
    利用者が集中してサウナ内の温度が通常よりも高くなりすぎるリスクがある場合、遠隔から温度を確認し、状態を把握した上で、設定温度の変更をおこなうことができます。たとえば特定人数以上が利用しているときは、通常の80℃設定を一時的に75℃程度に引き下げるなど、利用者の体感温度を調整しやすくなります。過去の運用データをもとに、利用状況に合わせた柔軟な温度変更が可能となり、快適性に与える影響を最小限に抑えることができます。

費用対効果のシミュレーション

ここでは、ラトックシステムのIoT温調器遠隔監視システムを導入した場合の投資と運用コスト、既存の巡回での温度確認、記録などの作業にかかる人件費削減効果についてシミュレーションしてみます。(以下の金額は、いずれも税別となります)

前提条件

  • 設備数: 温調器2台に設置
  • システム導入費用:
     1年目: 300,000円(初期投資:IoT通信ユニットx2台、ゲートウェイx1台)
     2年目: 0円(ゲートウェイには2年目までのライセンス費が含まれています)
     3年目以降: 年間15,000円(通信費、クラウド利用料、アプリ更新料含むライセンス費)
  • 巡回作業:
     頻度: 1日2回
     巡回時間: 1回10分(合計20分/日)
  • 担当者の平均時給: 1,500円
  • 1年の営業日数: 300日

人件費削減効果

1日の人件費:500円(1,500円 × 1/3時間)
年間の節約額:150,000円(500円 × 300日)

年別シミュレーション

年度 システム費用(円) 人件費削減効果(円) コスト削減効果(円) 累積効果(円)
1年目 300,000 150,000 -150,000 -150,000
2年目 0 150,000 +150,000 0
3年目 15,000 150,000 +135,000 135,000
4年目 15,000 150,000 +135,000 270,000
5年目 15,000 150,000 +135,000 405,000

 
このシミュレーションでは、1年目は初期投資の負担でマイナスですが、2年目でトントンに、3年目以降は毎年約135,000円のコスト削減効果が期待できます。結果として、長期的に運用効率の向上と確実な経済効果が見込まれることがわかります。
 
さらに、サウナでは顧客満足度を上げることで、リピーター確保による売上アップも期待できます。

対応温調器

このIoT温調器遠隔監視システムは、RS-485接続(Modbus RTU対応)の温調器に対応しています。以下のモデルに対応済みです。
 

  • アズビル社 C1MTR0RA0300 / C15TR0RA0300
  • オムロン社 E5CC-RX2ASM-004
  • 横河電機社 UT32A-010-00-00
  • 理化工業社 RZ100-MMN*N61/1-DD07
  • 理化工業社 RZ400-MMN*N61/1-DD07
  • その他(ModbusRTU対応)にも対応可能

 
その他のメーカー、モデルをお使いの場合もお気軽にご相談ください。

まとめ

温調器に遠隔監視システムを導入すると、スマホやPCから温度の確認、設定変更、アラート受信が可能になります。たとえば、離れた場所にある設備で温度異常が発生した場合や、利用者から温度に関するクレームがあった際に、迅速な確認と対応が実現できます。温度の見える化によって、安全で快適な環境の維持と顧客満足度の向上が期待できます。遠隔監視システムを活用して、効率的で効果的な温度監視を実現しませんか。

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