AWSクラウドを活用したオリジナルサービスの構築は、技術的な知識があれば誰でもチャレンジできるようになりました。今回はBLE/Wi-Fiゲートウェイ「G1」とBLEセンサーを組み合わせて、手軽に独自のIoTソリューションをDIYする方法とポイントについて解説します。
目次
G1ゲートウェイはBluetooth規格に準拠したデバイス(ビーコン)からのデータをスキャンし、Wi-Fiインターネットを介してAWSクラウドへとアップロードする役割を担います。
ビーコンは、定期的に信号を発報しています。位置情報の提供やプロモーション活動に利用されることが多いですが、センサーからの計測値や状態の変化をリアルタイムで取得する強力なツールにもなります。例えば環境の可視化や自動監視による効率化など、幅広い分野での応用が可能となります。ビーコンを通じてセンサーのデータをリアルタイムに収集し、クラウドでの分析やアクションのトリガーに活用することで、幅広いサービスを実現できます。
当社製のBluetooth環境センサー、温湿度センサー、ワットチェッカー、スマートボタン、開閉センサーなどのBLEデバイスは、アドバタイズで定期的に計測データを発信します。G1ゲートウェイはこれらのデータを受信し、AWSとの橋渡しをします。データ処理はAWS上でおこないます。
アドバタイズデータのスキャン能力は1秒間に最大400パケットで、複数のデバイスを同時に管理することが可能です。
AWS(Amazon Web Services)は、Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービスの総称で、インターネットを介してサーバーやデータベース、ストレージなどのITリソースを提供します。AWSは、2006年にサービスを開始して以来、世界中で広く利用されており、その利用者は個人開発者から大企業まで多岐にわたります。
AWSの最大の特徴は、従量課金制です。つまり、利用した分だけ料金を支払うシステムで、必要なリソースを必要な時に、必要な期間だけ利用できるため、無駄なコストを削減できます。また、オンプレミスのように物理的なサーバーを設置する必要がなく、初期投資を抑えることが可能です。
※画像引用:AWS公式「AWSのクラウドが選ばれる10の理由」
従来から一般的に使われているAWSは、EC2と呼ばれる仮想サーバーを立てて運用するクラウドサービスが主流でした。このクラウドサービスの場合、常時仮想サーバーが稼働するため、未使用時にも一定の運用費用が発生します。IoTサービスに適したサーバーレスクラウドを使うと、例えばBLEセンサーから計測データがアップロードされたというようなイベントが発生した時のみにクラウドサービスが起動します。この仕組みを活用することで、安価な運用が可能となります。
ただ、AWSを利用するにはサービスの選定や設定に一定の知識が必要で、なかなか時間がとれない…という方もおられると思います。そこで、これからAWSを使ったDIYに挑戦する方向けに、G1ゲートウェイと当社センサーを使った構築方法を「BLE Gateway サービス構築ガイド」としてまとめました。本サイトにてダウンロード提供していますので、AWS構築の実践にぜひご活用ください。
IoTデバイスのデータ収集やユーザーのログイン管理、データ処理、プッシュ通知など、アプリ開発で使用するAWSサーバ―レスクラウドの構成イメージは、以下の通りです。
では、実際にどのような段取りでAWS構築を進めるのでしょうか。以下では、最も基本的な「ゲートウェイからのデータをAWSで受信し、センサーの計測値をログで出力する」までのおおまかな手順を紹介します。AWS IoTサービス構築の「Hello world」ともいえるでしょう。細かな手順については、ダウンロード資料「BLE Gateway サービス構築ガイド」を参照ください。
本体の電源を入れて、PCまたはスマホとWi-Fi接続します。
コンフィギュレーション設定は、AWSクラウド側の準備をおこなってから実施します。
IoTデバイスからのデータは「AWS IoT Core」サービスで管理します。AWSではデータの送受信(publishとsubscribe)を安全におこなうため、管理画面にてポリシーを設定し証明書にアタッチする手続きが必要です。これらの設定は、Windows PCにておこないます。
※画像引用:AWS公式「IoT デバイスのセキュアな通信を実現。X.509 証明書のプロビジョニング方法とは ?」
「メッセージのルーティング」のルールは、AWS IoTに入ってきたMQTTメッセージを他のAWSサービスに連携させるための機能です。メッセージが特定の条件を満たしたときに、データを他のAWSサービスに送信したり、データを加工したりする処理を定義することができます。
ダウンロード資料では、CloudWatch Logグループを作成し、G1ゲートウェイからのMQTTメッセージを受け取ったときにログ出力をおこなうルーティングルールを作成しています。
G1 ゲートウェイは起動後アドバタイズデータを収集し続け、ネットワークが利用可能になるとデフォルト設定のままでも接続されたサーバ(クラウド)にデータを送信します。
ここでは効率的なアップロードをおこなうため、一部設定の変更をおこないます。PCまたはスマホをG1ゲートウェイにWi-Fi接続し、ブラウザからコンフィギュレーションページを開きます。ダウンロード資料で挙げている変更点は、以下のとおりです。
設定の詳細は、ダウンロード資料をご確認ください。
2024年6月現在、当社にて動作を確認しているのは以下のBluetoothデバイスです。
スマートボタン
RS-SCBTN2
(ボタンプッシュ)
今後、他社製センサーの動作確認も進める予定です。G1ゲートウェイはBluetooth規格に準拠したビーコン(アドバタイズ)を発信するセンサーであれば基本対応していますので、確認済みセンサー以外も組み込んで幅広いサービスに活用いただくこともできます。
なお、当社にて確認が取れているセンサー以外での運用は、お客様の責任のもとでおこなっていただく必要があります。当社では他社製センサーとの技術的なサポートやお問い合わせには対応しておりませんので、あらかじめご了承ください。
※ダウンロード資料ではiBeacon デバイス、S1 センサー、S3 センサー、S4 センサー未サポートとしております
G1ゲートウェイは市販のものをご使用いただくことができます。以下のサイトから注文できます。
🛒 G1 IoT Gateway(MINEW公式サイト)
調達を希望される場合は弊社へのご依頼も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。(送料および手数料が加算されます)
ここでは、センサーとAWSクラウドで実現するサービス例を挙げます。複数デバイスやさまざまなAWSのサービスを組み合わせて、お好みのソリューションをDIYしてみてください。
本記事が、IoTデバイスとAWSを活用した新たなクラウドサービス提供のきっかけになれば幸いです。