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農業において、作物の収量と品質を向上させるため、モニタリングツールとして土壌センサーの利用が広がっています。
土壌センサーは、土壌の水分、温度、電気伝導度(EC)などのデータをリアルタイムで提供し、生育環境を最適化するのに役立ちます。おもなメリットは以下の通りです。
土壌の状態を計測し、それらの値が最適になるようコントロールすることで、農業の効率化と作物の品質を高めます。
土壌センサーを用いたソリューションの一例を紹介します。土壌センサーで計測した水分、温度、電気伝導度(EC)のデータをパソコンに収集し、分析やレポートに活用。データはクラウドにも送信し、スマホで土壌の状況をモニタリングします。
【システム構成】
今回使用するセンサーは、村田製作所製の土壌センサ SLT5006です。電気伝導度、水分率、温度を計る3つのセンサーを搭載しており、土壌に埋設して使用します。長期間にわたり、土壌の温度、水分量、肥料量、水質をモニタリングする用途で展開されています。
🔗村田製作所製土壌センサ SLT5006 詳細
今回の例では、UART仕様のSLT5006を、RS-232Cの電圧レベルに変換しています。
ハードウェア工作の詳細は、RATOC e2e Store Blogの記事をご覧ください。
🔗土壌センサとRS-SG61を使って野菜畑のIoTを作ってみる(ハードウェアの工作)
センサーを複数個所に設置しデータを収集する上で、ケーブルの敷設が難しい圃場で活用したいのが無線通信です。
センサーの無線化に使用するのは、「SubGiga RS-232C変換アダプター RS-SG61mk2」です。Windows PCに装着するUSBホストドングルが1台、RS-232C機器に装着するデバイスアダプターが2台入っています。1台のホストに対し複数台のデバイスが接続可能で(最大16台のデバイスアダプターとペアリングが可能)、複数個所にセンサーを設置するケースでおすすめです。
🔗ラトックシステム製SubGiga RS-232C 変換アダプター RS-SG61mk2 詳細
ホストーデバイス間は920MHz帯(SubGiga)の無線で接続。中距離通信に対応し、見通しのよいところでは最大250mの伝送が可能です。
本製品の駆動には、外部電源が必要です。デバイスアダプターへの給電には、添付のACアダプターを使用します。デバイスアダプターのRS-232Cコネクタ9番ピンからは+5Vを出力できるため、ひとつの電源でシリアルデバイス(土壌センサー)にも給電できます。
圃場での電源確保は、長期的に使用するならソーラーパネルや蓄電池、短期のプロジェクトや小規模で使うならポータブル電源などの方法があります。
RS-SG61mk2は、Windows用の仮想COMポートドライバーを提供しています。 PCからはCOMポートとして認識されるため、既存のアプリケーションがCOMポート用の場合はそのままお使いいただけます。既存のRS-232Cインターフェイスを無線に置き換えたい、といった場合も容易に対応できます。
多くのプログラミング言語や開発環境では、COMポートを扱うための標準的なAPIが提供されています。さらにVCやVBでプログラム開発の際は、当社提供のサンプルプログラムを活用いただけます。これらにより、簡単にシリアル通信を実装できます。
Pythonを使って土壌センサーのデータをExcelの表に落とし込むプログラムついては、RATOC e2e Store Blogの記事で紹介しています。
🔗土壌センサとRS-SG61を使って野菜畑のIoTを作ってみる(ソフトウェアの制作)
本製品では、通信をモニタリングするための常駐ツール「SG61mk2リンクモニター」を提供。ペアリング済みアダプターのCOMポート番号やMACアドレス、電波強度などを確認できます。
RS-SG61mk2を使用すると、中距離に点在するRS-232Cデバイスのデータを無線で収集できます。複数のRS-232CデバイスとWindows PCをワイヤレスでつなぐシステム構築において、RS-SG61mk2は非常に便利なツールです。ケーブル接続では難しかったシリアル機器のIoT化など、本製品を活用したオリジナルのサービス構築をぜひ実現してください。
SubGiga RS-232C 変換アダプター(複数台対応品)RS-SG61mk2製品ページ
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