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【AWSクラウドIoT活用入門】G1ゲートウェイとBLEセンサーでオリジナルサービスをDIY

2024.06.17


AWSクラウドを活用したオリジナルサービスの構築は、技術的な知識があれば誰でもチャレンジできるようになりました。今回はBLE/Wi-Fiゲートウェイ「G1」とBLEセンサーを組み合わせて、手軽に独自のIoTソリューションをDIYする方法とポイントについて解説します。

G1ゲートウェイの役割と特徴

G1ゲートウェイはBluetooth規格に準拠したデバイス(ビーコン)からのデータをスキャンし、Wi-Fiインターネットを介してAWSクラウドへとアップロードする役割を担います。

 
ビーコンは、定期的に信号を発報しています。位置情報の提供やプロモーション活動に利用されることが多いですが、センサーからの計測値や状態の変化をリアルタイムで取得する強力なツールにもなります。例えば環境の可視化や自動監視による効率化など、幅広い分野での応用が可能となります。ビーコンを通じてセンサーのデータをリアルタイムに収集し、クラウドでの分析やアクションのトリガーに活用することで、幅広いサービスを実現できます。
 
当社製のBluetooth環境センサー、温湿度センサー、ワットチェッカー、スマートボタン、開閉センサーなどのBLEデバイスは、アドバタイズで定期的に計測データを発信します。G1ゲートウェイはこれらのデータを受信し、AWSとの橋渡しをします。データ処理はAWS上でおこないます。

アドバタイズデータのスキャン能力は1秒間に最大400パケットで、複数のデバイスを同時に管理することが可能です。

クラウドにAWSを選ぶ理由

AWS(Amazon Web Services)は、Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービスの総称で、インターネットを介してサーバーやデータベース、ストレージなどのITリソースを提供します。AWSは、2006年にサービスを開始して以来、世界中で広く利用されており、その利用者は個人開発者から大企業まで多岐にわたります。
 
AWSの最大の特徴は、従量課金制です。つまり、利用した分だけ料金を支払うシステムで、必要なリソースを必要な時に、必要な期間だけ利用できるため、無駄なコストを削減できます。また、オンプレミスのように物理的なサーバーを設置する必要がなく、初期投資を抑えることが可能です。

※画像引用:AWS公式「AWSのクラウドが選ばれる10の理由

 
従来から一般的に使われているAWSは、EC2と呼ばれる仮想サーバーを立てて運用するクラウドサービスが主流でした。このクラウドサービスの場合、常時仮想サーバーが稼働するため、未使用時にも一定の運用費用が発生します。IoTサービスに適したサーバーレスクラウドを使うと、例えばBLEセンサーから計測データがアップロードされたというようなイベントが発生した時のみにクラウドサービスが起動します。この仕組みを活用することで、安価な運用が可能となります。
 
ただ、AWSを利用するにはサービスの選定や設定に一定の知識が必要で、なかなか時間がとれない…という方もおられると思います。そこで、これからAWSを使ったDIYに挑戦する方向けに、G1ゲートウェイと当社センサーを使った構築方法を「BLE Gateway サービス構築ガイド」としてまとめました。本サイトにてダウンロード提供していますので、AWS構築の実践にぜひご活用ください。

AWS IoTを使ってみた!構築の手順

IoTデバイスのデータ収集やユーザーのログイン管理、データ処理、プッシュ通知など、アプリ開発で使用するAWSサーバ―レスクラウドの構成イメージは、以下の通りです。

では、実際にどのような段取りでAWS構築を進めるのでしょうか。以下では、最も基本的な「ゲートウェイからのデータをAWSで受信し、センサーの計測値をログで出力する」までのおおまかな手順を紹介します。AWS IoTサービス構築の「Hello world」ともいえるでしょう。細かな手順については、ダウンロード資料「BLE Gateway サービス構築ガイド」を参照ください。

 

G1ゲートウェイをWi-Fiネットワークに接続させる

本体の電源を入れて、PCまたはスマホとWi-Fi接続します。
コンフィギュレーション設定は、AWSクラウド側の準備をおこなってから実施します。

AWSクラウドを構築しG1ゲートウェイとやり取りできるようにする

IoTデバイスからのデータは「AWS IoT Core」サービスで管理します。AWSではデータの送受信(publishとsubscribe)を安全におこなうため、管理画面にてポリシーを設定し証明書にアタッチする手続きが必要です。これらの設定は、Windows PCにておこないます。

※画像引用:AWS公式「IoT デバイスのセキュアな通信を実現。X.509 証明書のプロビジョニング方法とは ?

 

  1. Windows PCでアカウントの作成とサインアップをおこないます。
  2. ゲートウェイとAWSの間の通信を保護する証明書を作成します。
    ポリシーの設定の入力項目であるJSONコードはガイドに記載していますので、コピー&ペーストでおこなえます。証明書作成を実行します。
  3. 証明書にポリシーをアタッチします。
    証明書、プライベートキーファイル、ルートCA1 証明書をダウンロードします。証明書に[ポリシーをアタッチ]すると、ゲートウェイからのデータをAWSで処理できるようになります。
  4. AWS IoTの”設定”から、エンドポイント名をコピー保存します。
    のちほどG1ゲートウェイのコンフィギュレーションの設定で使用します。

ゲートウェイから送信されたログデータを確認する

「メッセージのルーティング」のルールは、AWS IoTに入ってきたMQTTメッセージを他のAWSサービスに連携させるための機能です。メッセージが特定の条件を満たしたときに、データを他のAWSサービスに送信したり、データを加工したりする処理を定義することができます。
 
ダウンロード資料では、CloudWatch Logグループを作成し、G1ゲートウェイからのMQTTメッセージを受け取ったときにログ出力をおこなうルーティングルールを作成しています。

G1ゲートウェイのコンフィギュレーションを設定する

G1 ゲートウェイは起動後アドバタイズデータを収集し続け、ネットワークが利用可能になるとデフォルト設定のままでも接続されたサーバ(クラウド)にデータを送信します。
 
ここでは効率的なアップロードをおこなうため、一部設定の変更をおこないます。PCまたはスマホをG1ゲートウェイにWi-Fi接続し、ブラウザからコンフィギュレーションページを開きます。ダウンロード資料で挙げている変更点は、以下のとおりです。
 

  1. BLEアドバタイズデータ収集(unknownとgatewayのアドバタイズデータのみ指定)
  2. MQTT アクセス(Update Interval、毎秒1回の送信頻度を毎分に変更)
  3. MQTT With SSL Method(URLエンドポイントアドレスと証明書ファイルのアップロード)
  4. Wi-Fi アクセスポイントに接続

 
設定の詳細は、ダウンロード資料をご確認ください。

サポートするBluetoothデバイス(ビーコン)

2024年6月現在、当社にて動作を確認しているのは以下のBluetoothデバイスです。
 

BLEワットチェッカー
RS-BTWATTCH2
(消費電力、電流、電圧)

BLE環境センサー
RS-BTEVS1
(CO2、PM、温湿度)

スマート温度計
RS-BTTHM1
(温湿度)

開閉センサー
RS-BTDS1
(開閉の変化)

スマートボタン
RS-SCBTN2
(ボタンプッシュ)

 
今後、他社製センサーの動作確認も進める予定です。G1ゲートウェイはBluetooth規格に準拠したビーコン(アドバタイズ)を発信するセンサーであれば基本対応していますので、確認済みセンサー以外も組み込んで幅広いサービスに活用いただくこともできます。
 
なお、当社にて確認が取れているセンサー以外での運用は、お客様の責任のもとでおこなっていただく必要があります。当社では他社製センサーとの技術的なサポートやお問い合わせには対応しておりませんので、あらかじめご了承ください。
※ダウンロード資料ではiBeacon デバイス、S1 センサー、S3 センサー、S4 センサー未サポートとしております

G1ゲートウェイの入手について

G1ゲートウェイは市販のものをご使用いただくことができます。以下のサイトから注文できます。
 
🛒 G1 IoT Gateway(MINEW公式サイト)
 
調達を希望される場合は弊社へのご依頼も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。(送料および手数料が加算されます)
 

ソリューション例

ここでは、センサーとAWSクラウドで実現するサービス例を挙げます。複数デバイスやさまざまなAWSのサービスを組み合わせて、お好みのソリューションをDIYしてみてください。
本記事が、IoTデバイスとAWSを活用した新たなクラウドサービス提供のきっかけになれば幸いです。

見守りサービス

  • 環境センサー
    CO2濃度、PM2.5、温度、湿度を監視し空調機を適正に運転、居住者の健康と快適な環境を維持
  • 人感センサー
    居住者の活動パターンを学習し、異常があった場合に通知
  • 開閉センサー
    窓やドアの開閉を監視し、通常と異なる動きがあった場合にアラート通知
  • スマートボタン
    緊急時に居住者が押してヘルプを要請

防犯・防災サービス

  • ワットチェッカー
    電力使用状況を監視し、不在時の異常な電力消費を検知
  • 人感センサー
    無人設備の不審者の侵入を検知し、アラート通知
  • 開閉センサー
    窓やドア、引き出しなどの不正開閉を検知して通知
  • 漏水センサー
    水漏れを早期に検知して通知

空気質計測サービス

  • 環境センサー
    CO2濃度、PM2.5、温度、湿度のデータをクラウドで収集し、空気質をリアルタイムモニタリング。オフィスや公共の場、住宅などで空気環境の改善行動を喚起。

エネマネサービス

  • ワットチェッカー
    電力、電圧、電流のデータをクラウドで収集し、エネルギー消費を最適化。節電のためのアドバイスを提供
  • 環境センサー
    温湿度やCO2濃度を監視し、適正になったら空調を自動制御。エネルギー消費を最適化。

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